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SNSの「バズりフォーム」の罠とフェイクの構造

見栄え重視の奇抜なトレーニングが怪我を生む力学的理由

読了時間: 7 minレベル: 初級

要約

SNSのタイムラインには、毎日「これだけで胸がデカくなる!」「誰も知らない最強の胸トレ」といった、奇抜でアクロバティックなフォームの動画が流れてきます。しかし、バイオメカニクス(生体力学)の視点で見ると、その多くが「ただ見栄えが良いだけで、筋肉への負荷が抜けている」か「関節を破壊する危険な行為」です。

1. 「新しい種目」はなぜ生まれるのか(アルゴリズムの都合)

胸を大きくするための正解は、すでに数十年前に「ベンチプレス」「ダンベルフライ」「ディップス」などの基本種目として完成しています。

しかし、インフルエンサーが毎日「ただベンチプレスをする動画」を投稿してもSNSのアルゴリズムには評価されず、再生回数が稼げません。彼らは「目を引くため(バズるため)」に、わざと変な角度でベンチに寝たり、ケーブルを捻りながら引いたりする【奇抜なフェイク種目】を発明せざるを得ないのです。

2. 力学を無視した「負荷の抜け」

例えば、「ダンベルを下からすくい上げるように顔の前でクロスさせる」ような種目があります。

重力は常に「真下」に向かって働いているため、ダンベルを横にクロスさせても、大胸筋の内側を収縮させるための「横方向の負荷」はゼロです。(腕の骨で重さを支えているだけです)。大胸筋の内側を狙いたいなら、横方向への張力が発生するケーブルクロスオーバーを行うのが物理学的な正解です。

本物を見抜く基準:重力ベクトルと筋線維の方向

新しい種目を見たときは、「重力がどちらに向かっているか」と「大胸筋の繊維がどの方向に走っているか」が一致しているかを考えてください。ここがズレている種目は、すべてパフォーマンス(見せ物)です。

3. 基本(Basic)こそが究極の奥義

世界トップクラスのボディビルダーたちのトレーニング動画を見ると、驚くほど地味で、基本的なプレスとフライしかやっていないことに気づくはずです。

彼らがこだわっているのは「新しい種目」ではなく、「基本種目をいかに完璧なフォームで、限界まで追い込めるか」という【質】と【強度】です。SNSのノイズに惑わされず、基本種目を何年もかけて研ぎ澄ますことこそが、最強のトレーニングなのです。

まとめ

エンターテイメントとしてSNSを楽しむのは自由ですが、自分の体作りの教材にする際は、常に「物理の法則(バイオメカニクス)」というフィルターを通して情報を精査してください。