大胸筋の左右差(アンバランス)の克服
ー 利き腕と姿勢の歪みがもたらす筋肥大の非対称性
要約
鏡を見たときに「右の胸の方が大きい」「左胸の方が形が下がっている」と気づくことは珍しくありません。人間の体は元々非対称(心臓は左、肝臓は右など)であり、さらに利き腕や日常の姿勢によって、筋肉の使われ方には必ず左右差が生まれます。このアンバランスを放置すると、怪我の原因にもなります。
1. 右利きの人が「左胸」が大きくなりやすい理由
一般的に、右利きの人は「右腕」の筋力(三頭筋や前腕)が強いため、ベンチプレスを行う際に無意識に右腕の力に頼ってバーを押し上げてしまいます。
逆に左側は腕の力が弱いため、それを補うために「左の大胸筋」が強く動員されます。結果として、右は腕が太くなり、左は胸が大きくなるという「交差性のアンバランス」が生じやすくなります。
2. バーベルを捨ててダンベルに移行する
左右差を是正する最も確実な方法は、左右の腕が独立して動く「ダンベルプレス」や「ワンアーム・ケーブルプレス」をメニューの中心に据えることです。
バーベルのように強い方の腕で弱い方をカバーすることができないため、弱い側の胸と神経系を強制的に働かせることができます。セットを行う際は、必ず「弱い方の胸(回数がこなせない方)」に合わせてセットを終了するようにしてください。
片方ずつ鍛える場合、強い方で重い重量を扱いたくなりますが、左右で扱う重量や回数を変えてしまうと左右差はさらに悪化します。必ず「弱い方にレベルを合わせる」のが鉄則です。
3. 骨盤と背骨の歪み(アーチの非対称性)
胸の左右差の原因が「胸」ではなく「背中や腰」にあるケースも多々あります。
ベンチ台に寝た際、骨盤がねじれていたり、片側の肩甲骨だけが浮いていたりすると、バーを下ろす軌道が斜めになり、片方の胸ばかりがストレッチされてしまいます。フォームローラー等で背骨のモビリティ(可動性)を均等に整えることが先決です。
左右差は完全になくすことは不可能ですが、「意識」と「単一性の種目」によって目立たないレベルまで修正することは十分に可能です。弱い方の筋肉との対話(マインドマッスルコネクション)を深めましょう。