デッドリフトやベントオーバーロウで必須となるリフティングベルト。「ベルトを巻くと自分の体幹の筋肉(コア)が弱くなるから、極力素のままでやるべき」と主張するトレーナーがいますが、バイオメカニクスの観点では誤解が含まれています。
01ベルトは「腹圧を反射的に高める壁」
ベルト自体が「物理的なコルセット」として腰の骨を支えているわけではありません。お腹を大きく膨らませて力を入れた(腹圧をかけた)際に、ベルトという物理的な「壁」があることで、それに反発しようとして腹横筋や脊柱起立筋といった自前の体幹筋肉が【より強く収縮】します。
実際、EMG(筋電図)の研究では、ベルトを巻いて正しく腹圧をかけた時の方が、ノーベルトの時よりも体幹の筋肉の活動レベルが20%以上高くなることが証明されています。つまり「ベルトを巻くと体幹が弱くなる」というのは完全な誤解です。
02ウォームアップは外して、本番は巻く
ただし、常にベルトに依存していると「ベルト無しで自発的に腹圧をかける感覚」が鈍る可能性があります。また、呼吸が浅くなるため血圧が上がりやすいというデメリットもあります。
ウォームアップの軽い重量まではノーベルトで体幹に自力でスイッチを入れ、自分の限界の80%を超える重さになったら迷わずベルトを巻く、というのが最も安全で体幹も弱まらない合理的な使い方です。
- ウォームアップ(1RMの50〜70%):ノーベルトで自前の腹圧を練習する
- メインセット(1RMの80%以上):ベルトを強く巻き、腹圧をベルトに押し付ける
- 注意点:セット間は必ずベルトを緩め、深呼吸をして血圧を下げること
まとめ
ベルトは体幹を甘やかすものではなく、体幹の出力を120%に引き上げるためのブースターです。高重量の背中トレにおいてベルトを付けない理由は一つもありません。
