「クランチなどの直接的な腹筋トレーニングは一切やらない」と公言するパワーリフターやボディビルダーは少なくありません。彼らはなぜ腹筋を直接鍛えないのか?それは、スクワットやデッドリフトといったフリーウェイトのコンパウンド種目(BIG3)こそが、体幹に対して究極の負荷を与えるからです。
01高重量を支える「抗屈曲・抗伸展」のアイソメトリックス
200kgのバーベルを担いでスクワットをする際、体幹部(腹直筋、腹斜筋、脊柱起立筋)には凄まじい力がかかります。
重りは体をグシャッと押し潰し、背骨を曲げよう(屈曲・伸展させよう)とします。腹筋群は、その力に全力で逆らい、背骨を一直線に保つために極限の「アイソメトリック(等尺性)収縮」を行います。
この時に腹筋にかかる負荷は、自重のプランクなどとは次元が違います。
- 重力に抗って姿勢を維持するだけで、腹筋群がフル稼働する
- BIG3は究極の「高強度体幹トレーニング」を兼ねている
02IAP(腹腔内圧)と天然のコルセット
高重量を扱う際、大きく息を吸い込んでお腹を全方向に膨らませる「バルサルバ法」を行います。
これにより腹腔内圧(IAP)が高まり、お腹の中の風船がカチカチに膨らみます。この腹圧の壁が、腰椎を内側から強固に支え、背骨が砕けるのを防ぎます。
この腹圧を高める能力(腹横筋や横隔膜の強さ)こそが、スポーツや日常生活で使える「真の体幹の強さ」です。
- 腹圧(IAP)が腰椎を内側から保護する強固な柱となる
- トレーニングベルトは、この腹圧をさらに高めるための壁として機能する
03アイソレーション腹筋は不要か?
BIG3をしっかりやり込んでいれば、体幹の「機能的な強さ」は十分に養われます。
しかし、BIG3で行われる腹筋の収縮はあくまで「静的(アイソメトリック)」なものであり、筋肉の長さを大きく伸び縮みさせるものではありません。
したがって、「腹直筋のブロックをボコボコに分厚く肥大させたい(見た目の美しさ)」という目的がある場合は、BIG3に加えて、ケーブルクランチなどの「動的(ダイナミック)」な腹筋種目を追加する必要があります。
目的による取捨選択
競技パフォーマンスと腰痛予防が目的ならBIG3の腹圧コントロールで十分です。しかし、コンテストレベルの深い溝を持つシックスパックが欲しいなら、直接的な腹筋トレーニングは必須となります。
まとめ
スクワットとデッドリフトは、体幹の機能的な強さを鍛える究極の種目です。重いバーベルに押し潰されまいと腹圧を高めるたびに、あなたの腹筋は鋼鉄のように鍛え上げられています。
