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テストと評価

データの統計処理とアスリートのプロファイリング

テストで得られた数値をただ眺めるだけでなく、統計的に処理し、アスリートの長所と短所を客観的に評価し、トレーニングプログラムに反映させる手法を学びます。

1. 記述統計:集団の傾向を知る

チーム全員のテスト結果が出たら、まずは「記述統計」を用いて集団全体の傾向を把握します。代表的な指標(中心傾向の尺度)として、以下の3つがあります。
① 平均値(Mean):全ての数値を足して人数で割った値。極端に高い(または低い)外れ値の影響を強く受けやすい特徴があります。
② 中央値(Median):データを小さい順に並べた時に、ちょうど真ん中に来る値。外れ値の影響を受けにくいため、少人数のチームでは平均値より実態を表すことがあります。
③ 最頻値(Mode):最も多く出現した値。特定の記録に人数が集中しているかを確認できます。

2. ばらつきの尺度:チーム内の能力差を知る

平均値だけでは「全員が平均付近の実力なのか、エースと初心者が混在しているのか」が分かりません。そこで、データの散らばり具合(ばらつきの尺度)を確認します。
① 範囲(Range):最高記録から最低記録を引いた値。
② 標準偏差(Standard Deviation: SD):データが平均値からどれくらい散らばっているかを示す統計量です。標準偏差が小さいほど、選手間の能力差が小さく(粒揃い)、標準偏差が大きいほど能力差が大きいことを意味します。チームのトレーニングメニューを分ける(個別化する)べきかの判断材料になります。

3. 推測統計と効果量(Zスコアとパーセンタイルランク)

個人の評価を行う際、単なる測定値ではなく相対的な評価基準を用います。
① Zスコア:「(個人の測定値 − 平均値) ÷ 標準偏差」で計算され、その選手が平均からどれくらい離れているかを示す標準化スコアです。
② パーセンタイルランク:100人中、下から数えて何パーセントの位置にいるかを示す指標です。「75パーセンタイル」であれば、下から75%(上位25%)の位置にいる優秀な成績であることを意味します。選手へのフィードバックとして非常に分かりやすい指標です。

4. アスリートのプロファイリングとフィードバック

統計処理が終わったら、競技に必要な能力の基準値(ノーマティブデータ)と個人の結果を比較し、アスリートの「プロファイリング(強みと弱みの特定)」を行います。例えば、バスケットボール選手で「最大筋力(スクワット)」はチーム上位だが、「アジリティ」がチーム下位である場合、筋肥大メニューを減らし、アジリティドリルを重点的に処方するという判断が可能になります。CSCSは、テストの「測定者」で終わるのではなく、この「評価結果から次のトレーニングプログラムをデザインする」能力こそが最も重要な役割です。

理解度チェック:例題

Q. データの散らばり具合を示す「ばらつきの尺度」であり、データが平均値の周囲にどの程度集まっているか(または離れているか)を示す代表的な統計指標は何でしょうか?

▶ 答えと解説を見る

A. 標準偏差(Standard Deviation)

解説: 標準偏差は統計処理において最も重要な指標の一つです。データが正規分布(ベルカーブ)している場合、平均値±1標準偏差の間に全体の約68%の選手が含まれ、±2標準偏差の間に約95%の選手が含まれることになります。

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