トレーニング計画の第一歩である「ニーズ分析」。競技特性とアスリートの現状を評価し、SAIDの原則に基づいて適切な種目と実施順序を決定するプロセスを解説します。
プログラムデザインの最初のステップは「ニーズ分析」です。これには2つの評価が含まれます。
① 競技の評価:そのスポーツにおけるバイオメカニクス的特性(どんな動きをするか)、生理学的特性(どのエネルギー供給系を主に使うか)、および頻発する怪我の部位を分析します。
② アスリートの評価:体力テストを実施して基準データ(ノーマティブデータ)と比較し、選手の「強みと弱み」を特定(プロファイリング)します。また、トレーニング歴や過去の怪我の履歴も確認します。
エクササイズは目的に応じて以下のように分類されます。
・コアエクササイズ:複数の関節(多関節)と大きな筋肉群を動員する種目。スポーツへの特異性が高く、プログラムの中心となります。
・補助エクササイズ:単一の関節(単関節)や小さな筋肉群を動員する種目。怪我の予防や特定の弱点補強に用います。
・構造的エクササイズ:コアエクササイズの中でも、脊柱(背骨)に直接重力がかかる種目(スクワットなど)。姿勢の安定性が強く求められます。
・パワーエクササイズ:構造的エクササイズを爆発的なスピードで行う種目(パワークリーンなど)です。
トレーニングの原則である「SAIDの原則(特異的適応の原則)」に基づき、競技の動作やエネルギー系に最も近い(特異性が高い)エクササイズを選択することが重要です。
レジスタンストレーニングの頻度は、選手のトレーニング歴と現在のシーズンによって決定されます。
・初心者:週2〜3回
・中級者:週3〜4回
・上級者:週4〜7回(部位を分割するスプリットルーティンを活用)
また、オフシーズンは週4〜6回と頻度が高くなりますが、試合が続くインシーズン(シーズン中)は疲労を抜くために週1〜3回まで減らします。同じ筋肉群を鍛える場合は、回復のために少なくとも48時間の休息を挟むのが基本です。
1日のトレーニングの中で、どの種目を先に行うかは疲労の管理上極めて重要です。基本原則は「神経系を強く使い、疲労しやすい種目を先にやる」ことです。
正しい順序は以下の通りです。
① パワーエクササイズ(パワークリーン、スナッチ等)
② コアエクササイズ(スクワット、ベンチプレス、デッドリフト等)
③ 補助エクササイズ(アームカール、カーフレイズ等の単関節種目)
つまり、「多関節種目 → 単関節種目」「大筋群 → 小筋群」の順序で実施します。
Q. 次の4つのエクササイズを1日のセッションで行う場合、NSCAのガイドラインに基づく最も適切な実施順序はどれでしょうか?
ア. レッグエクステンション(補助エクササイズ)
イ. パワークリーン(パワーエクササイズ)
ウ. バックスクワット(コアエクササイズ・下半身)
エ. ベンチプレス(コアエクササイズ・上半身)
A. イ → ウ → エ → ア(または イ → エ → ウ → ア)
解説: 最も高い神経系の覚醒とスピードを要するパワーエクササイズ(イ)を最初に行います。次に多関節のコアエクササイズ(ウ・エ)を行い、最後に最も疲労の影響が少なく局所的な補助エクササイズ(ア)を行うのが原則です。